相続と生命保険
生命保険は死後に受け取れるみなし財産
平成27年から相続税が増税されたことは皆さん、ご存知のとおり。
でも、関係ないと確信を持っている方も結構いらっしゃるものです。
それでは、ご自身が生命保険に入っていない方は?
もしものときに備え、家族のために多少なりとも、
死亡保険金の出る生命保険に加入していることでしょう。
では、その死亡保険金、相続の際にはどのように取り扱われるのでしょうか。
相続財産だから相続人で分けなきゃいけなくて、相続税がかかるのでしょう?
と思われるかもしれませんが、実は少し違います。
ちょっと難しい表現ですが、死亡保険金は「みなし相続財産」となるのです。
「みなし」って何よ? ですよね。
亡くなった人が持っていた財産ではないけれど、
その人が亡くなったことによりもらえた財産ですから相続財産と同じでしょ、
ということです。つまり相続税がかかります。
すると、死亡保険金をもらったほうは、これを法定相続分に従い、
ほかの相続人と分けなきゃいけないのでしょうか。
いいえ、その必要はありません。
遺産分割の際には受取人固有の財産として、原則として分割協議の対象としなくてよいのです。
相続税の対象にはなるけれど、遺産分割の対象にはならない。
「みなし相続財産」って不思議ですよね。
生命保険で対策をするメリット
生命保険は万が一の備えのほか、相続対策としても有効なツールです。
ほかの相続財産とは違う、死亡保険金ならではの特徴があるのです。
●非課税枠がある
相続税の計算上、死亡保険金には非課税枠があります。
金額は、「500万円×法定相続人の数」です。
法定相続人が3人なら、1,500万円まで相続税がかかりません。
生命保険の“残された家族の経済的負担に備える”という目的に配慮しているのです。
● 宛名付けができる
保険金の受取人を決められます。受け取ってほしい、
大切な人を受取人にすることができます。
誰がもらうかでもめることがありませんし、
ほかの相続財産とのバランスで効果的に現金を残すことができます。
納税資金、代償分割対策など、特定の相続人に現金を残したいときにも、効果的です。
●現金化が早い
相続財産として金融機関に預貯金がたくさんあっても、
一般的に遺産分割協議が完了しないと預金は引き出せません。
数ヶ月以上かかる場合もよくあります。
対して、死亡保険金は受取人が請求手続きを行えば、速やかに支払われます。
葬式費用など、すぐに発生が見込まれる、まとまった支出に備えることができます。
遺産として、生命保険金を受け取った。
ドラマでなくでもよくあるパターンです。
保険金があったから遺族が助かったという場合も、あったからもめてしまう場合も。
保障や貯蓄の機能を持つ生命保険は、相続対策として、とても有効な手段といえます。
でも、相続税軽減の計算ばかり気にしていると、
思わぬトラブルに発展することも少なくありません。
何がよいかはケースバイケースです。
保険金ならではの非課税枠、宛名付け機能、早期現金化などのメリットを
相続対策にうまく活用したいですね。