特定支出控除
サラリーマン・サラリーウーマンの必要経費は?
仕事をするために必要な支出。結構自己負担していますよね。
スーツやワイシャツ、靴や鞄もいります。クリーニングやメンテナンスの費用もかかります。
男女を問わず、身だしなみもそれなりに必要です。
スキルアップのための研修会の参加費、書籍代。
交流会やセミナー参加も仕事の人脈づくりと言えなくもない。
仕事のために住まいを変える場合もあるでしょう。
広義にとらえると、相当な範囲になり、どこまでが業務上の必要経費であるのか
適正に判断などとてもできません。
所得税は、基本的に収入から経費を差し引いて計算します。
給与所得者(サラリーマン)の場合、この経費を明確に集計するのは極めて困難なため、
給与の収入金額に応じ、給与所得控除として概算の経費を控除することとしています。
一定額の概算経費は、現状の制度ですでに認められているのです。
特定支出控除のしくみ
給与所得の特定支出控除とは、概算経費に上乗せして個々の経費を考慮する制度のことです。
給与所得控除の額は、給与の収入金額に応じて決まります。
そして、特定支出控除として引けるのは、給与所得控除の額の1/2を超える部分です。
例えば、年収500万円の場合、給与所得控除額は154万円です。この1/2は77万円です。
特定支出が80万円であれば、80万円-77万円=3万円が特定支出控除額となります。
所得税率を10%とすると、3,000円が確定申告により還付されます。
意外とささやか?な印象かもしれません。
特定支出控除の対象は一定の要件を満たす
通勤費、転居費、研修費、資格取得費、帰宅旅費、
図書費・衣服費・交際費等の勤務必要経費で会社の証明したものに限られます。
つまり、会社が通常必要で、かつ業務に直接必要であったと認めたものであることが必要です。
実はハードルが高い
サラリーマンでも経費が引けるとはいえ、特定支出控除は結構ハードルの高い制度です。
適用判定の基準となる給与所得控除の1/2の金額は、年収のおよそ10%~20%程度。
また、図書費などの勤務必要経費は年間65万円という上限もあります。
実際の負担はどれくらいでしょうか? 会社の証明が必要なのも面倒かもしれません。
それでも、結構な高負担に耐え、業務に取り組んでいる人にとっては、
チャレンジしがいのある制度といえます。